ぶらり一人旅  吉備真備編

まだお天道様は高い昼日中です。
帰りは別の道を通って見ようと、県道ではなく「吉備真備駅」に再びもどって、井原線沿いに新道を走って見ました。自転車歩行者道がきちんと整備されているのでは安心してぶらぶら余所見ができます。「吉備真備駅」前からまもなく、高架下にこんな絵を見つけました。近くの真備中学校の生徒が描いたものだろうと思っていたら、倉敷の芸術大学の学生の手によるものだそうです。驚き、感動しました。絵に説明は野暮ですのでコメントはありません。

高架下の絵1 高架下の絵2

高架下の絵3 高架下の絵4

高架下の絵5 高架下の絵61


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亀の背の球体に書かれたイロハが味噌です。真備はカタカナの元祖だったのでしょう。また玄宗皇帝に命じられてバラバラな詩文で解読不能といわれる「野馬台詩」を読み解いたことでも有名です。玄宗皇帝に拝謁したということは楊貴妃にも出遭ったということでしょう。絶世の美女楊貴妃はどんな女であったのか、若い留学生真備は楊貴妃に誘惑されなかっただろうか、そんな心配までしてしまいそうです。

まきび公園の亀


吉備寺正門です。まきび公園のできる前からこの地に在った備中の古刹です。

吉備寺正門

吉備寺

まきび記念館です。見ごたえがあります。満足できる内容です。見てのお楽しみです。

まきび記念館
まきび公園石柱

まきび公園入口の石柱です。この奥に時代を偲ばせる一空間が詰まっています。人影は少なくひっそりとして、ひとり旅らしい青年の姿もありました。若者はこのような場所でひとり何思う、ものでしょうか。

まきび公園入口

円い潜り門の向こうには、斜面の高低差を利用した池と清流がゆるやかに奔っています。それらしい絵景色です。私の青年時代にはまだこの公園はできていませんでしたが、現在はそれなりの歳月を経て、けばけばしさがとれていい色調になっています。

まきび公園潜り門

右大臣吉備真備の顕彰碑。広くもない山間ですが、一帯は異次元に迷い込んだかの情景です。

吉備真備顕彰碑

吉備真備産ぶ井戸
広い駅前通りを進むと県道との交差角にファミリーマートがあります。ファミマにはコーヒーラウンジがありますので一服しながら道順など確認します。「吉備真備駅」前に大きな案内地図がありますのでメモしていた方がいいです。まずは生誕の産湯に使った井戸の跡です。ここでも黒瓦と朱柱の四囲が迎えてくれます。石碑にいわれがかいてありますが、新しい発見が見つかるかどうかは詠み人次第です。
井原線「吉備真備駅」に降りてまず目に付くのはこの唐の時代を想わせる黒瓦、朱柱の建物です。「吉備大臣入唐絵巻」に出て来る、幽閉された真備を鬼(実は阿倍仲麻呂)が訪ねて来て、ふたりで唐の役人たちの無理難題を懲らしめる、その逸話を模した高楼でしょうか。
うしろに見える陸橋の向こうが「吉備真備駅」です。

吉備真備駅前赤楼
左の高楼、待合室の内部です。外には囲碁名人であったという真備にちなんで石の碁盤の腰掛け台が置かれています。

吉備真備駅前赤楼待合室
吉備真備は郷里がその名を冠した吉備郡真備町の生んだ最大の著名人です。誕生したのは父親の勤務地である大和の八木であるといわれていますが、真備町のこのあたりであったとして決して不思議はありません。奈良時代の政治世相を描いた多くの書物に吉備真備の名前は出てきます。当時の新知識文物の紹介者であるとともに兵法陰陽道の達人、中央の名家ではない地方豪族の官吏の家に生まれて遣唐使に選ばれ、帰朝後に破格の右大臣にまで登りつめて政治政争の中枢にあったとくれば、波乱万丈の人物像に興味は尽きません。井原線「吉備真備駅」から歩いて数分の場所に在る真備支所の前庭に立つ右の銅像は、そんな真備を偲ばせて往時の想いをふくらませてくれます。
快晴の五月の中日、自転車で金田一耕助巡りをしたその足で、県道を西にひた走り、3、4キロほどの道のりですから所要10分少々でしょうか。県道(旧山陽道)は車の往来はかなりありますが、井原線沿いに新しい道ができて交通量が分散しています。多くは車道と自転車歩行が別れていますから、それほど危険な自転車通行ではありませんでした。
吉備真備像